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makicoo — essays 2017–2026

離れてもホーム、我が渋谷

2025-11-06 / 街・場所 / 渋谷

10年住んだ渋谷区を離れて池尻に引っ越し、早3ヶ月。いちばん引っ越したことを実感するのは、自転車で246を渋谷方面に向かっている時だ。それまでは坂を下っていた渋谷(渋谷区に引っ越した当初はNHK近く、その後は東大裏の交差点近くに住んでいた)に、今はだらだらと続く坂を上り切らないと着かない。そのことにまだ慣れないけれど、上り切ると不思議な達成感があり、想像していたより渋谷に行くのが億劫ではない。
池尻から向かう渋谷は、かつてのような「近所」ではなく、「お出かけ先」になった。坂を上り切った先にベルサール渋谷ガーデンがあり、それを抜けると新しい居住エリアとは少し違う空気を感じる。

子が通うダンススクールや、私がよく借りている音楽スタジオは桜丘にある。246をセルリアンタワーに向かって今度は下ることになるのだけど、以前の東大裏の家からもよく通った道なのに、今はどこか“お出かけ感”があるのが面白い。坂を上って渋谷にくるようになったせいか、セルリアンタワーの横を抜けるとき、前よりも姿勢を正したくなる。そして、あの建物が前よりずっと好きになった。

その後自転車を近くに止めて、地下鉄やJRに乗るなら、行き先に応じてルートを変えるけれど、最近はおおしま皮膚科前の歩道橋からフクラスを抜け、マークシティ方面に向かうことが多い。フクラスを抜けると“ザ・渋谷”という感じで、10年近くスクランブル交差点を渡り、109から旧東急本店を抜けて帰っていたというのに、今は「都会だなあ」と感じる自分がいる。
ただ同じ都会でも、新宿や東京駅にいるときとは全然違う。どのあたりに何のお店があるか、目を瞑っても分かる。華やいだ観光客も、受け入れ側の目線で見ている。私にとっての渋谷は、やはりホームなのだ。

そう、住む場所は変わっても、私にとっての渋谷はいまだにホーム。今の私は渋谷へ“上っていく”けれど、それでも渋谷は、いつまでも“降りて帰る場所”のような気がしている。

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