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makicoo — essays 2017–2026

別れても好きな人──ダバインディアと、新しい恋の予感──シバカリーワラ

2025-11-09 / 考えごと・人生 / エッセイ・カレー・シバカリーワラ・ダバインディア

18歳で上京してから、神楽坂、江古田、椎名町、元住吉、神泉、駒場東大前、渋谷、そして現在は池尻と、東京の西側にしか住んだことがない。
その結果、山手線でいうと、内回りなら恵比寿の先、外回りなら池袋の先をどこかアウェイに感じている。思いがけず時間ができても、「じゃあ銀座や東京駅方面に行こう」とはならない。その手前の渋谷か新宿で、だいたいのことは完結してしまう。

ただ、数年前までは少し違っていた。時間が空くと、「あ、東側に用事がないかな?」と考えることがよくあった。
というのも、京橋にあったカレー屋「ダバインディア」が大好きだったからだ。中でも私が愛してやまなかったのが、“エビのレモンバターマサラ”。評判がいいと聞いて恋人と訪れ、何気なく頼んだ一皿が、想像をはるかに超える美味しさで、心を撃ち抜かれた。

何をもって「美味しい」と感じるのか──。もちろんそれは人それぞれだけど、私にとっての美味しさは、組み合わせの妙と味の多彩さにある。
それまで私の中で「レモン」と「カレー」はまったく結びついていなかった。でもよく考えれば、レモンバターは美味しいし、バターチキンカレーも美味しい。ということは、この三つを組み合わせても美味しいのか──! と、そんな思考を巡らせながら感激して食べた。豊かなスパイスの香り、たっぷりと乗った生パセリ。一口ごとに表情が変わる、なんとも多彩なカレーだった。

悲しいかな、そんな愛しのダバインディアは再開発のため、2023年に閉店してしまった。
そして私が東側へふらっと出かけることも、いつの間にかなくなっていた。



今日、このことをふと思い出したのは、SNSで見かけて訪れた三軒茶屋のカレー屋「シバカリーワラ」がきっかけだ。
「どれどれ」と一口食べた瞬間、あのダバインディアを彷彿とさせる味が口いっぱいに広がった。
特にガーリックシュリンプのカレーを食べたとき、舌の奥に眠っていた記憶がノックされた。

「美味しい!」と感激しながら、ダバインディアの味を思い出して少し切なくなった。
でも同時に、もしかしたらこのシバカリーワラのメニューの中には、あのレモンバターマサラを超えるものがあるかもしれない──そんな嬉しい予感もした。



素敵な人を見かけて、ふと前の恋人を思い出すような切なさと、新しい恋の始まりを予感する嬉しさ。
ダバインディアにはもう二度と行けない。
だけど、シバカリーワラが、そんな私にウィンクした。

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