7年前の答え合わせ
マタ旅、という言葉がある。
妊娠中の旅行はSNSでは非推奨とされている。ましてや海外など、と。
7年前、私は妊娠6ヶ月でハワイにいた。
一度目の結婚を終え、もう結婚はしない、おひとりさまで生きる──そんなエッセイを書き始めた矢先の妊娠だった。前言をすべて翻して「産む」ことを選び、気まずさと戸惑い、そして悩みの一つが、妊娠前に手配してしまったハワイ旅行。リスクを調べ、天秤にかけ、結局キャンセルせずに行った。
到着してしばらくはいつも通り、旅先で妊婦であることの不安はなかったのだけど、最初に軽く後悔したのがダイヤモンドヘッドだった。頂上に向かって歩いている道中、だんだんとお腹が張っていくような不安があった。そこそこ急な坂道もあって、転ばないかもヒヤヒヤした。しばらくはそんな自分の気持ちに蓋をするようにしていたけれど、見渡した先にみえた急勾配の階段に怖気付き、話し合いの結果、彼だけ登ってもらうことにした。
ちょっとした休憩所のような場所で、彼を待ちながら、いろいろな考えが頭をめぐった。
このままハリが収まらなかったら。
そもそも無事に妊娠を継続できなかったら。
それとも、慎重すぎはしないだろうか。妊娠経過は順調で、運動も推奨されている。ハリと思っていたけれど、座っているとハリというよりはただ疲れているだけのような気もする。
思考は渦のように巡った。どの結論にもたどり着けずに、ただぐるぐると。
そして今日、七年ぶりのダイヤモンドヘッドに登った。今度は、当時お腹にいた子と、あの時の彼と一緒に。私が先に進めなくなった場所のことははっきりと覚えていた。そしてそこから先の道程は意外なほど短く、ほんとあとちょっとだったんだなと7年ぶりに気づく。
頂上には、青が重なっていた。
海の青、空の青。ひと続きのようで、まったく違う濃淡が並んでいた。
あの時、あとちょっと勇気を出していたら。この絶景がもっとはやくみられていたのにと残念な気持ち、ただもしかしたら、お腹のハリが収まらずに、一生悔やんでいたかもしれない。いや、そもそも7年越しにみられたから、こんなに感動しているのかもしれない、そんな風にも思う。
そしてマタ旅、あんなにドキドキして旅行しなくてもよかったと思うし、今回の旅のプロローグとして良かったという実感も、どちらも嘘ではない。
SNSが発展した今、全て白黒つけるような圧があるけれど、見渡す解像度を上げれば、ほとんどのことはそのどちらにも寄らない。
ハワイの空と海も、そんな色をしていた。