池尻雑記:土曜日の朝のルーティン
引っ越してから大きく変わったことがいくつかある。そのひとつが、土曜日の朝に買い物に行く習慣だ。池尻には良いスーパーがいくつもあるけれど、定期的に行くことにしたのはオーケーストア。安いのもいいし、朝8時半から開いているのもいい。
土曜の朝はなるべく早く起きて、買い物に行く。11時前には子どもをダンス教室に連れていかなければならないけど、8時半に出かければ、帰ってから作り置きの時間が作れる。今日は浅漬けを仕込んだり、ゆで卵を作ったり、買った花を生けたり。気分よく、次の一週間の先取りをした。
オーケーにはエコバッグを持って行き、その袋いっぱいに買い物をする。自転車移動なので、袋いっぱいだとちょっとした振動で中身が落ちそうになり、いつもヒヤヒヤする。(過去に、よりによって卵のパックを落として大惨事になったこともある…)
パートナーは「ネットスーパーを使えば?」と言う。効率を考えればその通りだ。でも、店舗で買い物をする時間には、ちょっとしたセレンディピティが満ちている。
たとえば今日は、ふと漬物が食べたくなって、数年ぶりに浅漬けの素を買った。おでんの種を選んでいたら、いつもとは違うパックが目に入り、なんとなくそちらを選んでみる。卵は家に二パックあるからいらないと思っていたのに、思いがけず安かったので買うことにして、温泉卵を作ることにした。(今週のお昼ご飯に添えよう。)
野菜コーナーの入り口にニラがあって、それを見た瞬間にラーメンを作りたくなり、もやしもカゴに入れた。さらに、調理するのが好きな牛すじ肉が今日は売られていて、そうだ、牛すじもおでんに入れようとウキウキ。
前の家では毎週ネットスーパーを使っていた。同じ食材を繰り返し買い、メニューもなんとなく固定されて、料理はどこか“義務”のようになっていた。それが今は、料理が、そして買い物が土曜日の楽しみになっている。効率はきっとよくないのだけど。
そもそも効率を考えたら、自転車での移動も悪い選択だ。車ならもっと運べるのに…と、私の倍の量を買っている人を見ると、少し羨ましく思うこともある。
ただたぶん、私はその制約も含めて楽しんでいる。
「今日は買いすぎないように。持ち運ぶの大変だから」と思って家を出るのに、つい気になったものを買っていくと、結局いつもエコバッグがギリギリになる。会計を済ませて自転車までの道のりも大変。でも、すべての食材を落とさずに家まで無事に持ち帰れた日には、なんだか誇らしい気分になる。
遠いアフリカで、何キロも歩いて水を汲みに行き、
頭の上にカメを乗せて運ぶ——
いつか観たドキュメンタリーを思い出す。
あのときは「なんて大変なんだろう」と思っていた。でも今は違う。きっと、やっている本人たちは案外その営みを楽しんでいるのだ。
“大変だ”という感想こそ、野暮だったのかもしれない。