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映画「バレエボーイズ」感想/ 夢を追う人にかける言葉

2021-06-29 / 読書・文学 / 映画・映画レビュー・映画感想・コンテンツ会議・バレエボーイズ

「バレエボーイズ」はノルウェーの首都、オスロでバレエを習っていた少年3人の4年間を追った、2014年に公開されたドキュメンタリー映画だ。あどけなく、じゃれあっていた少年達がどんどん大人びて将来を憂い迷い、そして吹っ切れるまでを描いたとても爽やかな作品で、日本でも人気がある。現在、NetFlix・Amzon Prime 両方で配信されている。

この映画を私が忘れられないのは、少年のうちの1人、ルーカスが、進路指導の先生からの

「バレエで芽が出なかったらどうする?」
「夢を追ってほしいが別の道も考えておいては?」
「ケガしたらどうする?」

という矢継ぎ早の問いかけに対し、何とも言えない表情を浮かべることにある。特に最後の「ケガしたらどうする?」に対しては、相手の立場を充分に理解し尊重した上で、理解してもらうことを諦めた、そんな表情だと私は思った。

2021年現在、ルーカスは世界三大バレエ団のひとつ、ロイヤル・バレエ団に在籍している。ただ、バレエ団には明確な階級があって、彼は2021年現在、5段階のうち下から2番目の「ファースト・アーティスト」。遅咲きのダンサーも多くいるとはいえ、2016年に入団して5年でこの位置、というのは決して早くはない。
たとえば2015年に入団したほぼ同じ年齢の別のダンサーは2019年には「ソリスト」という、もうひとつ上の階級にいるし、日本人初のロイヤル・バレエ団ダンサーとなった熊川哲也は1986年に入団してすぐに「ソリスト」に昇格、その3年後には更に上の「ファースト・ソリスト」になった。

世界三大バレエ団のひとつ、ロイヤル・バレエ団に入団できたことは、すごいことだ。ただそれにしたって、上には上がいる。ルーカスもまだまだ駆け出しのダンサーのひとりだ。25歳になっても、まだ。

そこでこの映画で、バレエ以外の道も考えるように、と言った先生の言葉がリフレインする。

「バレエで芽が出なかったらどうする?」
「夢を追ってほしいが別の道も考えておいては?」
「ケガしたらどうする?」

それでも、そう言われた時のルーカスの顔がやっぱり忘れられない。芽が出ない可能性、夢が潰える可能性、それが将来の選択に何の影響を及ぼさないほど「やりたい」が定まっていることがある。そういう生き方がある。
今回久しぶりにこの映画をみて同じシーンで胸が締め付けられ、そしてルーカスの現在を知ってもなお、ここまでの決意をしている人に「芽が出なかったらどうする?」なんてそんな野暮なことは一切言わないようにしよう、そう、思った。

ここまでの決意をした人が気持ちよく前に進むことができたなら、たとえ芽が出なかったとして、きっとすぐ、次の道を模索できる、そう思う。



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